第8回![]()
トイカメラ。そのかわいらしい姿に心ひかれ手にとったはいいものの、撮影した写真の仕上りに愕然とした人は数知れず。やはりトイはトイでした…でも、雨樹一期さんのように、トイカメラを使いつつも、ハイクオリティな作品を生み出す人もいたりして。私たちと雨樹さん、いったいどこが違うのでしょう。かなりしつこくお聞きしました(笑)。
??過去は過去として(大笑)、現在の雨樹さんは、他の方には真似できない独特の深みを醸すトイカメラマンとして知られています。あの作風って絶対、なんとなくでは生み出せないはず。どこか他の方と違う工夫や技がある気がするんですけど…。
雨樹「僕は、撮影の時にファインダーを覗いてないんですよ」
では、どんな風景が写るか目で確認しないで、感覚で撮影しているってことですか。
雨樹「だから他の人と全く違うアングルになるんでしょうね。 よく高級カメラに望遠レンズな三脚カメラマンさんを見かけるのですが、みんな同じようなアングルで撮ってるな、って感じちゃうんですよ。それってどうなん?って。どこかで見たことのある写真が出来るだけちゃうん?って。あ、今のとこちょっと生意気っぽかったんでカットで(笑)。僕はもっといろんな世界を伝えたいんですよね。 だからそれを逆に参考にして、全く違うアングルを探してます。ただ、高級望遠三脚カメラマンさんから見た僕は、チープなカメラで変な体制で三脚どころかノーファインダですからね、絶対変な奴ですよね(笑)」
??そういうスタイルで撮影してイメージ通りに仕上るものですか。慣れなんでしょうか。
雨樹「でも今や、ファインダーを覗かなくても、思い通りに撮れるようになりました。といっても、36枚撮って、ブログで発表できるのは3分の1くらいです。捨て写真の確率は昔に比べてはるかに減りました。フィルムなので、一枚一枚が全て本気というか、勝負なんです。だからなのか、デジタルで50枚撮るよりロモで10枚撮る方が、いい写真が多かったりします」
??トイカメラはいつもカバンに入れて持ち歩いているんですか。
雨樹「基本的にはいつも持ち歩いてます。でも、『今日はまぁ撮らへんやろ?』っていう日は、ロモはお留守番です。変わりにビビターっていう安いトイカメラを持って出ます。ロモ1台買うんと、ビビター8台買うんはよう似た値段ですから。本命とキープみたいな感じになってますね。 人間にはそんなんしませんけど(笑)」
??ここまでテクニックを中心にお聞きしてきたんですけども、感性もそれ以上に重要ですよね。シャッターを押すときの感覚ってどんな感じですか。
雨樹「もともと僕は詩を書くのが好きだったので、物語を思い浮かべながら撮っています。そういうのも作品にとってはプラスなんかなと思います。トイカメラってそんな気持ちを閉じ込められるような気がするんです。 だからただ撮るだけっていうのは論外で。僕にとっては、他の方のように絞りやシャッタースピード、露出を計算して、被写体深度に気をつかって撮影するのではなく、何よりまず物語を想い描きながら撮るのが大切なんですね」
??そういえば、雨樹さんは文章もかなりお上手でしたね。詩や文章と写真を組み合わせた作品も発表されていますし。
雨樹「僕はほんまは写真家じゃなく、小説家になりたかったんですよ。で、同じく小説家を目指す女性と、ブログで偶然出会ったんですけど、彼女がトイカメラ(LOMOLC-A)の写真も公開してたんです。 もうそれを見て、『これやー!』って思って、すぐロモを購入して。僕の撮りたい写真がそこにあったんですよ。 そっからどんどん写真にはまってしまって、ガンガン撮り続けてたら、いつの間にかロモグラファーという位置に辿り着いてました」
??雨樹さんも始めはトイカメラで一枚も写ってないくらい下手っぴだったわけですよね。どう切り替えれば最短で上手くなるんでしょう。最後にふさわしくない短絡的な質問ですけど(笑)。
雨樹「写真の感性って持って生まれたものではないと思います。僕も写真を撮るようになってからいろいろ意識するようになりましたから。 きっと、意識を外に向けると、誰だって些細なものの素敵を感じるようになってくるんです。 空の色や雲の形、風や土の香り、身近な風景でも空間を切り取れば、素敵が潜んでるんです。その感覚を磨いていると、撮影するしないに限らず、自然と素敵を探すようになってくる…僕の場合、『今日は空が綺麗だー』なんてロマンチックな事を思いながら。 その作業が楽しくて。そして、それが誰かに伝わった時って嬉しくってたまらないものですよ」

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??雨樹一期さんといえば“トイカメラマン”というくらい、トイカメラのイメージがあります。そんなトイカメラマンがはじめて購入したのって何ですか。やっぱ一番ポピュラーなロモだったりするんでしょうか(笑)。
雨樹「やっぱロモですね(笑)。ロモを買って、まずは近所をウロウロして、古い遊具とかレトロっぽいものを撮りました。トイカメラとレトロなものは合うんやと、なんとなしに思って。 でも、その時、撮った写真は全然いけてませんでした。あまりにひどくてびっくりしましたよ。『トイカメラしょーもな!』って(爆笑)」
??雨樹さんでも初めはそうだったんだ…そこはだいたいみんなと同じですね。
雨樹「で、次は旅行にロモを連れていったんです。フィルム一本撮り終えて、次こそ!って思って現像したんです…そしたら一枚も写ってませんでしたね(笑)。 でも、そこでめげなかったですね。次こそは次こそは!!って」
一枚も写っていなかったって…今の雨樹さんの写真からは想像もできませんよ。それでも、向上心さえ持っていれば、プロフェッショナルになれるものなんですね。