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第6回レクチャー

山本シエンさんのカフェで写真展示術

ミュージシャンとのコラボ写真展ツアー。計25のカフェやバーのトイレでの写真展示。写真と空間の可能性を探る山本シエンさんをインタビュー。

カフェで写真展示をする理由

——シエンさんは、京都在住ながら、日本全国を視野に入れた展示活動をされていますね。カフェでの展示が多いようですが、ギャラリーではなく、カフェという空間を好まれるのはなぜですか。

シエン「以前は僕も、写真展と言えば、ギャラリーを借りて一週間程度をして終わり…みたいなのが常識だと思ってたんです。でもそれだと、一部の興味がある人しか来てくれませんね。もっと気軽に誰の目にも触れるところで作品を展示できたらと思い、カフェやお店での展示に興味が出てきました」

——でも、カフェは写真展示用の空間ではありませんよね。実際に展示となると、手間がかかるんじゃないですか。

シエン「お店を営業するに当たって支障のない方法で展示しなければいけませんからね。壁紙が剥がれないように工夫するとか、釘なんかで穴を開けない展示方法を考えるとか、毎回、試行錯誤しています」

どんな場所にでも写真は飾れる

聞いているだけで冷や汗が出てきそう(笑)。何かが壊れたら弁償ですもんね。

シエン「まぁ、そういうことは一切考えないですね(笑)。逆にそのマイナス要素を利用することで、カフェ空間での展示を魅力的にするという発想です。例えば、写真の展示スペースが少なければ、トイレ・階段・窓・天井など、どんな場所でも展示することはできます。これが実際にカフェやバーのトイレで写真を展示した様子です(と、写真を取り出す)」

——この発想は…家で写真を飾る時にも使えそうです

シエン「それに、写真を飾るというのは、写真+αの発想をすると可能性が広がると思います。自分の経験で言うと、これはカフェでなく、ギャラリーでの展示なんですが、香りやBGM・映像など、いろんな要素を写真と組み合わせましたこともあります」

ミュージシャンと行った写真展ツアー

——シエンさんは、昨年から今年にかけて、ミュージシャンとコラボレーションしながら、写真展ツアーをされていましたが、この発想はどこから生まれたのですか。

シエン「昔から音楽が好きで…一時期、音楽を仕事にしようかと錯覚していた時もありました。しかし現実はそんなに簡単なものではなかったんですね。その頃からカメラを手にして、それが仕事になって現在に至りますが、バンドをやっていた時の楽しめる気持ちは変ってないんです。自分にとって音楽と写真はすごく近い位置にある感じですね」

——実際にミュージシャンとコラボスタイルの写真展ツアーをしてみて、何か発見はありましたか。

シエン「写真の搬入を深夜から朝方にかけてやっていた時のこと。カフェのスタッフが夜食を差し入れしてくれたり、朝ごはんのフレンチトーストをお土産にもらったり…人の優しさに感動しました。ある時は、ミュージック(live)+写真(スライドショー)+カフェ が一体になって、最後はみんなでセッションして盛り上がりました。このようなことは、やはり写真展だけでは体験できませんね。今まで各地で写真展をしてみて気づいたのですが、メッセージノートを見返してみると、自分の作品は日本人より外国の方に受けがいいようです。来年以降はフランスでも写真展をしてみたいです」

感覚に忠実にシャッターを押す

——写真を飾ることについては参考になることを、たくさんお聞きできたと思います。やっぱり写真そのものが良くないと、空間が引き立たない。どうすれば、シエンさんのような写真が撮れますか。

シエン「それは難しい質問です。僕は、写真を撮る時は自由にシャッターを押しています。自分の中の感覚、直感に忠実に。何か考えて写真を撮ったら面白くなくなってしまいます」

——一度、シエンさんが撮影している現場を拝見した時がありますが、ほんと自由に動きまわって撮られてますもんね。

シエン「僕にとって、自分の感覚を見てもらえるツールとして写真があるのだと、感じています。その感覚に共感して喜んでもらえたら、尚、嬉しいのですが」

写真はコミュニケーションツール

——写真に対する考え方がシンプルですね。なんだか、肩の力が抜けてほっとしてきます。写真を撮る行為が好きになれるというか。

シエン「写真は、コミュニケーションツールの1つ。なんでもいいんです、芸人はお笑いであったり、ミュージシャンは音楽であったり、パテシェはスイーツであったり、それがきっかけで1つでも会話が生まれてくると気持ちが豊かになります」

——そっかぁ、上手い写真を撮ろうと力むよりも、どう撮ったら伝わるか、と考えた方がいい写真が撮れるんですね。

京都のお薦め写真撮影スポットは

——京都在住のフォトグラファーとして、京都旅行に行った時は、このへんを撮影するといいよ、というお薦めのスポットはありますか。

シエン「京都に来たら路地や細い道を探して歩いてみてください。そうすると、昔からある京町屋や屋根瓦・玄関の金具・暖簾なんていう面白いモチーフと出会うことができます」

——京都に行くと、どうしても、分かりやすい歴史ある建物や舞子さんなどに目が向いてしまいます(笑)。次はそういう視点で撮影してみたいと思います。

シエン「あと市内を流れている鴨川もいいですね。川の流れが穏やかで、春から夏になると川床が立ち並び、河原では色んな人や鳥達が沢山います。イヌの散歩をしていたり、読書をしてたり、ゆったりとした時が流れています。その空気感をあなたの感覚でファインダーにおさめてみてください」

[取材協力]
山本シエンオフィシャルWEB
http://shien.main.jp/