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第2回著名人

人気ポストカード作家を訪問
きむさんの制作現場を知りたい

人気ポストカード作家・きむさんを訪ねて、東京から京都へ。写真花では初めての長期出張。ちょっと緊張気味です…。

身近な人の自然な表情を引き出す

今、文具店のポストカード売り場で異変が起こっています。若者の生命力溢れるいきいきとした表情と心に突き刺さるストレートな詩を組合せた“きむ”のポストカードが並ぶようになり、さらに大々的な特設のコーナーを作るSHOPまで増加中。今まで、どちらかというとひっそり気味だったポストカードコーナーに多くの方が立ち止まるようになりました。今回は、この大人気ポストカード作家・きむさんを特別ゲストにお招きし、制作の舞台裏を伺いました。

——きむさんにお会いしたら、どうしてもお聞きしたいことがあったんです。きむさんのポストカードにはいろいろな人が写っていますが、写真のモデルはいったい誰なんですか(笑)。

きむ「例えば(と、目の前のポストカードを指差す)これ元カノです。これは(別のポストカードを指差す)地元の友達です。こっちのは僕が行ってた美容室で働いてた子。プロのモデルの子は使っていませんね」

——皆さん、きむさんの身近な方々なんですね。だから、こんな自然な表情を引き出せる…。

きむ「それが最近、悩みもあって(笑)。昔の方が撮影はしやすかった。大学生の時は、学校に行けば、良い表情をしてる人がたくさんいましたけど、今はそういう若者の自然な表情を撮るのにも、『今日、撮りに出かけてくるわー』みたいな感じになってますから。なかなか…。もう一回、大学行ったらいいんかなと思う時もあります(笑)」

——顔も売れてきてますし、ますます大変ですね。『あ、きむが私を写そうとしてる!ポストカードになるかも!!』って、自然な表情になるわけありませんよね(笑)。

きむさん

頭に巻いたタオルがトレードマークのポストカード作家・きむさん。

写真と詩を後から組み合わせる

——きむさんのポストカードの特徴の一つとして、写真と詩の組合せの絶妙さがありますけど、これは、詩を先に作って写真を撮るんですか? それとも写真に合わせて詩を作るんですか?

きむ「写真と詩は全く別々に作ってますね。詩を作りためたファイル、写真を撮りためたファイルがあってですね…それらを後から組み合わせる感じですね」

——この詩に合うのはどの写真だろう、とファイルから写真をひたすら選ぶ、みたいな流れですよね。写真だけがあって、それに合わせて詩を作ってみよう、みたいな考えは全くないんですか。

きむ「最近、そういうのを意識してやったこともあるんですけど、なかなか思い通りにならないというか。やっぱり違うなぁみたいな」

——もう、体質が、写真と詩は別々に作って組み合わせるもの、になっているんですね。

きむさん

カメラを向けるときむさんもカメラマンを撮影。それをスタッフの方が写メで撮影するという複雑な撮影現場に。

撮影は人柄が大事

——きむさんみたいな写真って撮れそうで、絶対撮れない。どうしたら、あぁいう表情を引き出せるんでしょう。

きむ「写真って(被写体が)いかに良い顔をする瞬間におれるかっていう運を作り出す勝負ですよね。そういう意味では撮影する側の性格とかも大事。かたっくるしい人の前で笑顔があふれるわけない(笑)」

——よく、被写体にリラックスしてーとか言いますけど、カメラマンが緊迫感を醸し出しているなんてケース良くありますよね(笑)。

コンタックスのカメラ

きむさんご愛用のコンタックスのカメラ。ファインダーやボディには長年使い込んだ跡が。

やりながら覚えるタイプです

——きむさんが写真を始めたのっていつ頃ですか。

きむ「19歳、大学1年生の冬ぐらいでしたね。詩に合う写真を撮るために。写真してた友達に『僕の詩に合う写真撮ってや』って頼んだら、『自分で撮ったらいいやん』って言われて(笑)。僕の親父が一眼レフのカメラ持ってたんで『親父これちょうだい』とお願いして貰って。それからバシバシ撮るようになりました」

——写真の腕前はどうやってあげましたか。

きむ「そこらへんは適当に(笑)。マニュアルでやりながら覚えてましたね」

——今、読者の中に『あ、それでいいんだ!』って救われた人、たくさんいると思います(笑)。

きむさんの作品

きむさんの作品。ポストカードは500万枚、それらを集め一冊の本にした作品集「想い描く世界に」は35万部を記録。

詩を作る時は対象となる人がいる

——きむさんみたいな詩を書きたい…と思ってる方、たくさんいると思うんですけど、どうすれば書けますか。なんだか、子供みたいな質問ですが(笑)。

きむ「うーん、法則とかはないですね。ただ、書く時に対象となる人がいるんですよ。友達が恋をして、今から告白するぞって時に、応援する詩を書くぞ!という感じで。不特定多数とか、空想では、あんま書けないですね」

——詩は想像力だけで作るもの、みたいな思い込みもありますけど、あの人に宛てて書こうと思えば、すいすい出てきそうですね。きむさんみたいな届くものになるかは別の話として(笑)。

WORLD1(ワールドワン)のギャラリー

きむさんは、ポストカード作家であると共にいろは出版の代表もされています。その活動の一つ、似顔絵とウェルカムボードのWORLD1(ワールドワン)のギャラリー。

作品を書かせてもらってるみたいな感じ

——最後に、なぜご自身のポストカード、それをまとめた書籍がこれだけの人に支持されていると思われますか。

きむ「それは、人には向上心があるからであって…僕の力じゃないと思います。人は向上心があるから、悩みを抱えるし、不安にもなる。そういう方に僕のポストカードを見ていただき、元気になってもらったりしてるんかなーって思いますけど」

——きむさんは、ご自身の作品どうのこうのよりも、それが相手に届いた時の反応に喜びを感じる方なんですね。

きむ「それは完全にそうですね。僕が作ったポストカードを大学の友達が見て喜んでくれて。じゃあそれを路上で売ってみようと思ってたくさんの人に喜んでもらえて。もっと多くの人に喜んでほしいという思いでここまで来ました。とにかく人が好きっていうのが根底にあって、作品については分かりやすく言うと書かせてもらってるみたいな感じですね」

きむさんが代表のいろは出版WEBサイト
http://hello-iroha.com/

雑貨も販売

いろは出版が発掘・育成を行う作家の雑貨も販売。「自分の作品が売れるよりも、彼らのものが売れる方が嬉しい」ときむさん。